★天ノ視点★-MQA-
皆様こんにちは。
いよいよ年の瀬も近づいてきましたね。
さて今日は、先日行ったMERIDIANのULTRA DACでご紹介があったMQAに関して少しご紹介したいと思います。
≪なぜMERIDIANの試聴会でMQAを?≫
まず、MQAはMWRIDIANの創業者であるボブ・スチュアート氏が主体となり開発された新しいデジタルフォーマットです。
そのため、MERIDIANの製品はMQAに純粋に対応していると共に、MQAに対して、最も理解の深いメーカーとしてご紹介を致しました。
≪MQAって?≫
そもそもMQAってなんのこと?という方もいらっしゃると思いますが、MQAはFlacやWAV、MP3と同じように、デジタル音楽情報のファイルフォーマットです。
その中で、MQAの特異性を簡単にご紹介致します。
■三種類の圧縮方式■
ファイルフォーマットは大きく分けて三種類の形式があります。
・非圧縮 WAV AIFF
・可逆圧縮 FLAC ALAC
・非可逆圧縮 MQA MP3 AAC OggVorbis WMA
ちょうどよいので、各種フォーマットも含めて、それぞれを簡単にご紹介したいと思います。
◇非圧縮◇
音楽自体の圧縮を行いません。そのためPCMの中では最も高音質が見込めます。逆に、WAVに関してはジャケット等のタグ情報がつけられない等の不利点がありますので、ある程度、自己管理のできるかたにおすすめです。(現在では徐々に改善されて来ています)また、ファイルサイズが最も大きくなりますので、ストレージの容量に不安がある方にはおすすめできません。
WAV…WAV、またはWAVEはWindowsのファイル形式
AIFF…Macファイル形式
◇可逆圧縮◇
おそらく、ハイエンドオーディオの中では現在最も使われているファイル形式ではないでしょうか。保存時は圧縮された状態で、再生時に非圧縮状態に戻すという方式です。
ファイルサイズは60%~70%と言われ、WAV程ではありませんが、しっかりとした音質と安定した使用が出来ます。
FLAC…Windowsのファイル形式(4F推奨)
ALAC…Appleロスレス Macファイルの形式
◇非可逆圧縮◇
圧縮した状態で保存され、そのままを再生する方式です。世間一般的に最も使われているフォーマットで、大手配信サービス(iTunesやストリーミングサービス)では、この形式で配信されているものがほぼ全てです。ファイルサイズは非圧縮の10%~20%ととても小さく、多くの楽曲を保存することが出来ます。しかし、音質は非圧縮や可逆式に比べるとかなり落ちますので、音質を優先されたい方にはおすすめできません。
MP3…最も多く活用されているファイル形式。ほぼすべての再生機で対応されています。
AAC…MP3の後継フォーマット。MP3よりも多少ファイルサイズが大きく、音質の向上が見込める。
OggVorbis、WMAに関しては、ほぼ使われませんので、また別の機会に…。
<非可逆圧縮…MQA>
上記のように、MQAが属する非可逆圧縮はファイルサイズを小さくする変わりに音質の劣化が著しく、ハイエンドオーディオを楽しむ方の多くはこの形式を避けます。しかし、逆に言えば、ファイルサイズが小さく、高い音質を確保することが出来れば、それに越したことはありません。MQAはMP3やAACに比べると、多少ファイルサイズが大きくなるものの、特質な技術を用いることによりFLACやロスレス同等の音質を確保することが可能になりました。つまり、MQAを最も簡単に言ってしまうと「高音質でファイルサイズが小さい」となります。
<MQAの技術>
MQAはまず、音楽の「時間軸」に着目をしました。以下MQAパンフレットより↓↓↓
アナログ音声をデジタル信号に変換するとき、時間軸の「音ボケが生じ、過渡的な音に滲みが生じることになります。その結果、ひとつひとつの音がどこから来ているのか、厳密には聞き取れなくなります。録音された音楽がライブと比べて平坦に聞こえるのはこのためです。MQAはこうした時間軸の「音ボケ」、滲みを排除し、これまでに聴いたことがないような3Dなサウンドを再現します。
MQAは新たな符号化技術により、24bit/192kHzの音声波形と比べ、時間軸の音ボケの原因となる、前後の数百μ秒に及ぶリンギング(ノイズ)を約10分の1以下に抑えています。
<音楽の折り紙>
時間軸に関することもさることながら、MQAで特筆したい技術として、音質を落とすことなく圧縮を行うということです。
◇音楽の折り紙のプロセス◇
①超高域のコンテンツ(C)をカプセル化し、(B)のノイズフロアの下に移動します。
②高音域情報(B)をロスレスで圧縮し(A)のノイズフロアの下に移動します。
③(A)はWAVやFLAC等の音楽ファイル機器で再生が可能です。このとき高域成分(B)と(C)は再現されませんが、CD音質以上で再生可能です。
④MQA対応機器では、録音されら音源全体が展開され、マスター・クオリティのパフォーマンスが再現されます。
以上が、MQAの技術を簡単にご説明したものになります。
本当はもっと色々なことをやっていると思いますが…
<MQAの活用について>
そして、MQAがなぜこれほど、注目されているかというと、世界中の音楽を聴く環境が変わってきているからです。
今、音楽を聴く方法として主流になってきているのが、ストリーミングサービスです。
月額いくら、もしくは年間、永久ライセンスを買って数万曲を聴き放題というサービスです。
日本でもAppleが行っているAppleMusicやSpotify、Amazon Music Unlimited、レコチョクBest等があります。
ストリーミングサービスで音楽を聴くとき、ほとんどの配信サイトがmp3やAAC等の非可逆圧縮が採用されています。
これは、ファイルが大きくなり、音楽が途切れたり止まったりすることを避けるためです。
しかし、高音質を望む声は世界中にあり、MQAの登場により、これらの改善が具体的なものになってきました。
今後、MQAがもっと世界中に広まることにより、ストリーミングをより良い音で楽しめるようになるかも知れません。
もちろん、一曲一曲、もしくはアルバム事にダウンロードして楽しまれている方も、ファイルサイズを小さくしていい音が楽しめるようになるかもしれません。
<MQAの音>
最後にMQAの「音」についても少し触れておきましょう。
上記でも書いている通り、MQAの技術として時間軸にメスを入れたところが大きいです。特に、アナログ音源(楽器や人の声、ライブ録音)をAD/DAするにあたって、時間軸の「音ボケ」を排除することによって、より正確な音色を表現することが出来ます。イコール音楽の生々しさが出ています。FLACと比べると少し中域がきらびやかになる傾向にあるのかと思います。
なので、私の勝手な感想ですが、デジタルで作られた打ち込み系の音楽に関してはそれほど大きな変化は感じられませんでした。
「音」に関する事のみですが、すべてがすべてMQAを採用したほうが良いということではないと思います。
<MQA対応DACが必要?>
もちろんMQAをそのまま再生するためには、MQA対応の製品を持つ必要があります。しかし、ひょんなことからMQAの音源を手に入れてしまっても問題ありません。MQAに対応していないDACやネットワークプレーヤーを持っている方でも、FLACとして再生することが出来ます。純粋なFLACよりも音質は下がりますが、フィルサイズを考えてMQAを購入されて、今後、MQAがもっと盛んになったときに、導入されるのもよいかもしれません。
長々と書いてしまいました。。。。
私も偉そうに書いていますが、それほど詳しくはありません。。。。。
MQAは現在、MERIDIANやMYTEK DIGITAL、そして、日本ではESOTERICやTechnics、SONY、Pioneer、ONKYO、TEAC等が続々と対応して来ています。
メーカー、音楽配信元がもっと増えてくれば、これからの音楽を楽しむ環境がもっと変わるかもしれませんね。
Dynamicaudio 5555 天野
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