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2008年9月28日 (日)

ユダヤ人とノスタルジー

Portrait In Jazz:  +1

「Portrait in Jazz」 Bill Evans


ジャズとは、
音楽ジャンルの一つではなく、
演奏方法の一つだと思います。

そもそも、自分たちが作ったものに
自分たちが悩まされている生き物は
人間ぐらいです。
すなわち「言葉」であり、「道具」であり。
きっと「言葉」がないと、
いろんなものがふわふわしてて、
不安なんでしょう。
がっちりと型にはめた方が、安心できるようです。

音楽というものは、
成長します。
隆盛も衰退もします。
常に変化するので、
時代によってかなり様変わりしますね。
ジャズのような、
他の音楽ジャンルを貪欲に吸収しながら
成長してきた音楽はとくに。

現在のジャズピアニストの中で、
ビル・エヴァンスの影響を受けていない人は、
まずモグリと思って間違いないでしょう。
それだけ革新的で、唯一無二で、
かっこいいサウンドだったということです。
バップ期におけるチャーリー・パーカーのような。

このアルバムは、
ラファロ、モチアンとのトリオ演奏の中でも、
最も有名な作品の一つ。
でも、このトリオはベーシスト、スコット・ラファロの技術力、想像力が並外れていて、
エヴァンスの次の行動を完全に読んでいた、
というより、エヴァンスが後をついていったのかもしれません。
当時、若干23才のラファロの。
このことから、
この三人のトリオは、
ビル・エヴァンストリオというよりは、
スコット・ラファロトリオと言えるかもしれません。
彼がいたからこそ、
エヴァンスのピアニズムは爆発したのです。

「枯葉」や「いつか王子様が」など、
有名なスタンダードも演奏していて、
とても聴きやすくもあると思います。
名作というのは「キャッチーでわかりやすい」というのが絶対条件ですね。
僕は中でも「When I Fall in Love」という曲が大好きで、
いとも簡単にノスタルジーな気持ちになれます。
そして、曲自体がすばらしいので、
誰が弾いても美しくピュアなんです。
エヴァンスも、とてもバランスのとれた感情表現で聴かせてくれています。
「感情を知性でコントロールできなければ、
良い演奏はできない。」
というのが彼の信条のようです。
知的なユダヤ人らしいです。

普遍的なノスタルジーは
しばしば、個人的なノスタルジーに
すり替えられるのです。


seki@dynamicaudio.co.jp

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